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通訳翻訳ジャーナルにみる、通訳者のお財布事情(2019年7月)

2019年6月10日

こんにちは!トリ女のマミです。

今回は「通訳翻訳ジャーナルにみる、通訳者のお財布事情」と題して、『通訳翻訳ジャーナル』2019 SUMMER号(2019年7月発行)の内容をベースとして、通訳者のお財布事情を探りたいと思います。


 

はじめに

外国語が大好きだから通訳者・翻訳者になりたい、と思う方も多々いらっしゃると思います。

好きなことを仕事にして、それで経済的に自立できるのは本当に幸せなことだと思いますし、実際トリ女もそう思ってアラサー(30代前半)になるまで語学キャリアを築いてきました。

とはいえ、ちょっとマイナーなお仕事でもある通訳者・翻訳者は、経済的にある程度余裕を持てるお仕事なのか、というのは案外分かっていません。

実際、下記記事にも記載した通り、

www.tri-girl.com

通訳者として一定以上の経験を求められても時給が1800円だったり(みなし毎月残業42時間ついて最低年収400万円)、下記記事のように、新聞記事の翻訳という比較的高度な語学スキルを求められても、最低年収350万円だったりと、

www.tri-girl.com

トリ女の短ーい経験則ではありますが、特に駆け出し&若手の通訳者は経済的に厳しい状況にあると思っています。

駆け出し&若手の通訳者が経験を積んで、通訳歴10年前後の通訳者になったらお財布事情は改善されるだろうか、と疑問に思っていたところ、ちょうど『通訳翻訳ジャーナル』2019 SUMMER号(2019年7月発行)に「通訳者・翻訳者のリアルな収入&料金」特集が掲載されていたため、その一部を皆さまと共有します。

※本記事は通訳者のお財布事情にフォーカスしますので、翻訳者のお財布事情を詳しく知りたい方は、下記雑誌をご購入して頂くことをおすすめします。

『通訳翻訳ジャーナル』2019 SUMMER号

68名の通訳者(男性9名・女性59名、平均通訳歴:12.4年)のアンケート結果を、年収や1日あたりの料金など、さまざまな角度から紹介している『通訳翻訳ジャーナル』2019 SUMMER号。

が、はじめから難癖をつけるようで大変申し訳ないのだが、そもそも回答者数が少ない。

通訳・翻訳サービスを提供するテンナイン・コミュニケーション社社長の工藤浩美氏が2007年1月の記事で「昨日の日経に、会議通訳者の記事が載っていました。その中に経験豊富なトップクラスの通訳者は、国内で200名程度だと書いてありました。(途中略)正確な数の把握は難しいと思いますが、200名というのは割りと的を得た数字ではないでしょうか?」と発言している。

氏の発言通りトップクラスの通訳者が200名だった場合、それ以下のクラスの通訳者は何倍もいることが予想されるため、68名の回答は、十分なデータとはなかなか言い難い。

また、年収がやや低めの人のほうが、お財布事情に関するアンケートに回答しない割合が高い可能性を考慮すると、回答者68名のデータが、どこまでリアルな通訳者のお財布事情を反映しているか微妙である点、先にお伝えしておきたい。

トリ女個人の見解では、特に年収についてのアンケート結果は、実情よりやや高めに出ているのではと考える。

とはいえ、データが無いよりあった方が非常に参考になるので、前置き長くなったが、下記に内容の一部を共有させていただく。

ずばり!年収はいくら?

600万円~800万円 2000万円近い人も

今回、通訳の実務経験が3年以上ある通訳者68人にアンケート調査にご協力いただいた。(途中略)まずは「年収」について。グラフ1を見ると、下は100万円未満から、上はなんと2000万円までかなり幅がある結果となった。人数的に一番多いのは100万円未満だが、今回、通訳とそのほかの仕事の兼業の人もおり、その場合は「通訳の収入のみ」を申告してもらっているので、金額が少ないケースもあるようだ。実際、100万円未満の回答者の中には「専業のフリーランスの通訳者」の人はおらず、通訳と大学教授・講師の兼業や通訳と翻訳の兼業の人などが多かった。その100万円未満のゾーンを除くと、多いのは600万円~700万円未満が9人、700万~800万円未満8人となっている。また回答の高い金額(300万円~400万円なら400万円)を取って、回答者の年収の平均値を算出すると624万円となった。なお、参考までに算出した「専業の通訳者」(27人)のみの年収の平均は856万円となった。

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(『通訳・翻訳ジャーナル』SUMMER 2019 p34)

通訳を専業としていない回答者のデータも入る平均年収624万円が、通訳者のリアルなお財布事情を示しているのか不透明なところだが、専業の通訳者の平均年収856万円は今後のキャリアを考えていくうえで参考になる数値である。

68名の回答者の平均通訳歴は12.4年(最低3年)であることを考えると、理論上、新卒で通訳者になり(22才)、そのまま継続して13年通訳キャリアを積むと、35才で年収が800万円代になる。

もう少し現実的に考え、通訳者になるため日本の通訳学校に通学したり、海外の大学院で通訳を学んだりしたとしても、40才前後で年収800万円代になる計算である。

この年収を、転職サイトで有名なdodaエージェントが発表したデータ(2018年12月公開)と比較してみる。

下記は、2017年9月~2018年8月の1年間に、dodaエージェントサービスに登録した人のうち、正社員として就業している20~65歳までの約36万人のビジネスパーソン(サラリーマン)のデータを元に、40才の平均年収を示したものである。

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上記年収と比較すると、一般的な40才正社員よりも、専業通訳者のほうが約300万円年収が高い計算になる。

が、専業通訳者にはフリーランスの方も含まれており、正社員にはないリスク(病気が収入減に直結する点、家のローンが組みにくい点など)を常に背負っているため、年収300万円高いのが、そのリスクに見合った額なのかは、フリーランス通訳者個人の状況次第になる。

最後に、社内通訳者のお財布事情も紹介されていたので、是非共有したい。

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(『通訳・翻訳ジャーナル』SUMMER 2019 p36)

上記社内通訳者11名の回答結果なので、再度どこまでリアルな社内通訳者のお財布事情を反映しているか微妙ではありますが、平均年収が809万円で、フリーランス含む専業通訳者27名の平均年収856万円とさほど変わらない結果に。

さきほど紹介した専業通訳者27名に上記社内通訳11名が含まれており、残り16名がフリーランス通訳者と仮定すると、専業通訳者(フリーランス)の平均年収は約888万円

社内通訳者とフリーの通訳者の年収が80万円ほどしか違いがないのなら、会社の福利厚生も享受できる(退職金もある)社内通訳者(できれば正社員)のほうが、経済面ではメリットが大きい。

なので、上記表2の左側にも記載あるが、経済的安定を重視するのであれば、社内通訳者として社内でステップアップできる企業を探すのも一案である。

おわりに

みなさま、いかがでしたでしょうか?

冒頭にもお伝えした通り、『通訳翻訳ジャーナル』2019 SUMMER号の特集が、どこまでリアルな通訳者のお財布事情を反映しているか微妙なところではあります。

が、本誌が通訳歴10年を越える通訳者の想定年収を示してくれることで、通訳者としてキャリアを築いていく上で欠かせない、自身の経済事情を考える上で有益なデータだと思います。

通訳者を目指す方・現在通訳者の方などが、ご自身のキャリアや人生計画を考える上で、本記事が有益な情報になれれば幸いです。

通訳者だけでなく翻訳者のお財布事情や料金単価などのデータの記載もありますので、より詳しい内容知りたい方は下記雑誌をお読みください。


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  • この記事を書いた人

Mami@Trilingual in JP, EN and CH

中国語キャリア模索中のアラサー駆け出し日英通訳者。超論理思考の夫に日々脳トレしてもらう、非キラキラ系コンサル妻。2020年4月第1子出産。 Fledgling English-Japanese interpreter, seeking for Chinese career as +α. At the same time, wife who has a consultant husband with ultra-logical thinking. And mother who gave birth in April 2020.

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